タイトル

悪態句集三十句 上

 

俳句

夏井いつき

 

 

「おぼしき事言はぬは腹ふくるゝわざなれば」

(吉田兼好著『徒然草』第十九段より)

 

怒鳴る人の口ばかり見て鰯雲

縊つてやらうか針金虫の首はどこ

あなたがたもセイタカアワダチソウでしたか

打てば打てば秋草の鞭ひかるひかる

山彦や案山子に耳はありますか

吊し柿呆れた口のごと吊らる

冷ややかや木石に目のごとき窪

露りんりん怒りしづかに透きとほる

きこえない耳とひからない目と冬

仮処分申請木枯を蹴り蹴る

木枯こがらしガム薄情な味となる

言ひたくはないがと言つて懐手

極月のレタスを油煮にして怒

冬鳥や咽灼けさうな怒りとは

恩知らぬ君らに雪うさぎを贈る

 

 

奥付

悪態句集三十句 上

 

2020728日発行

 

俳句

夏井いつき

発行人

加根光夫

発行元

株式会社 夏井&カンパニー

URL https://www.natsui-company.com/

©Natsui&Company 2020, Printed in Japan

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