タイトル

日よ花よ三十句 上

 

俳句

夏井いつき

 

 

日乙と花羊へ

 

青葉むんむん此の石割らば男の子出ん

言祝ぎにゆれて桜の実のころろ

滴りを心音として朝の星

硝子つたう緑雨を追うて赤子の目

芥子色のうんち六月色の雲

みずいろの水鉄砲の水みずいろ

ちょっとすっぱいゼリーに星をとじこめる

星涼し羊は草食ですかと問う

流れ星だったか馬の夢だったか

水澄むというあかるさへ帰郷せり

翅のあるものらも露にひかりあう

野分来る野はよろこびにひるがえる

哺乳ビン煮るも秋夜の一仕事

鉛筆の芯の匂いが初冬だ

アルファベットのKが一番寒いと思う

 

 

奥付

日よ花よ三十句 上

 

2020630日発行

 

俳句

夏井いつき

発行人

加根光夫

発行元

株式会社 夏井&カンパニー

URL https://www.natsui-company.com/

©Natsui&Company 2020, Printed in Japan

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