タイトル

皺くちゃ玉三十句 上

 

俳句

夏井いつき

 

太一と利吉へ

 

春はあけぼの孫とはこんな皺くちゃ玉

十日目の赤子にさくら便りかな

育児日記に記す「菜の花色の糞」

孫とは真に膝に春抱くごときかな

長閑かな赤子の尻の穴眺め

乾いた虫けらみたいに春のへその緒は

酒臭き祖母を許せよ春の宵

抱けば我が胸蹴る赤子夏来る

みにくいアヒルの子色のバスタオルに裸子

祖父の胸吸うてもみたる裸の子

金玉と呼ぶにはいとけなき涼しさ

蝉の昼名付け親なる和尚来る

孫の名は太一と申す宮相撲

ドイツ民謡にて眠る子や秋匂う

乳吐いて野分の夜のがうがうと

 

 

奥付

皺くちゃ玉三十句 上

 

2020616日発行

 

俳句

夏井いつき

発行人

加根光夫

発行元

株式会社 夏井&カンパニー

URL https://www.natsui-company.com/

©Natsui&Company 2020, Printed in Japan

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