株式会社 夏井&カンパニー

初夏や跳ねては沈む野の兎  でこはち

季語
初夏
季節
初夏
分類
時候
鑑賞

 試みに「野兎の跳ねては沈む夏はじめ」と、語順を替えてみましょうか。述べている意味は同じですが、一句の勢いは全く違います。 掲出句の上五「初夏や」という切字の勢い。中七「跳ねては沈む」という描写のリアリティ。下五「野」という広さを思わせてからの「~の兎」という生き物への焦点の絞り方。この語順が一句の世界を生き生きと立ち上がらせているのです。あるべき言葉が見事に選択され、適所に置かれていることが手に取るように分かる作品。
「跳ねては沈む野の兎」は「初夏」のひかりを弾きながら、あっという間に「野」のなかに消えていきます。その速さがまた「初夏」の躍動感となって、読者の心に清々しく印象付けられます。
  
(鑑賞:夏井いつき)
(出典:松山市公式サイト『俳句ポスト365』2015年5月15日掲載分)