株式会社 夏井&カンパニー

水搔きがつかむ日永の水なりき  夏井いつき

季語
日永
季節
三春
分類
時候
鑑賞

 水掻きを持つ鳥と言えば、鴨、白鳥、雁、フラミンゴ、ペリカンも思い浮かぶ。桜が散った後の暖かい午後の公園や、お堀や、動物園の池の側で、水掻きを持つ鳥達をじっと見ている人。いかにもぬるんできた水中を水掻きがゆっくりと動き、緑色に濁る水をつかんではゆっくりと放す。スローモーションのように感じる繰り返しを見ていると、ああ、日が永くなったなあ、と思う。
 芝不器男の句、「永き日のにはとり柵を越えにけり」の情景とも通じるような、気づけば、濡れたままの水掻きで岸辺を歩き回っている鳥もいる。
   
(鑑賞:朗善)
(出典:句集『伊月集 梟』)