株式会社 夏井&カンパニー

雨の野や馬の子の名はルミエール  東ゆっこ

季語
馬の子
季節
晩春
分類
動物
鑑賞

 「ルミエール」とはフランス語で「光」の意。こんな名前をつけるということは、生まれた「馬の子」はサラブレッド系でしょうか。
 中七下五の詩句をさらに美しくしているのが上五「雨の野や」という詠嘆。「馬の子」が春の季語ですから、この「野」は春草の芽吹く野原です。朝の雨を想像したのは「ルミエール」という言葉の余韻でしょうか。朝の雨が降る明るい野の美しさ。今朝生まれた「馬の子の名」を「ルミエール」と決めた瞬間の感動が、読み手の心にさざなみのように広がってきます。
 やがてこの輝く野を、光のような鬣をなびかせ、光のように疾駆する「馬の子」は、今やっと立ち上がって母馬の乳房に鼻をすり寄せているのでしょう。
   
(鑑賞:夏井いつき)
(出典:松山市公式サイト『俳句ポスト365』2014年4月11日掲載分)