株式会社 夏井&カンパニー

桜狩轟く滝のところまで  そも

季語
桜狩
季節
晩春
分類
人事
鑑賞

 主たる季語は「桜狩」ですが、「滝」も大きな時空を持つ夏の季語。このような季重なりが堂々と成立することに驚きつつも、「桜狩」という季語の現場の実感が季重なりというタブーを越え、読者の心にありありと像を結ばせるのだと、気持ちよく理解できます。
 「桜狩」とは、山中に咲く桜を探しに行くこと。その過程を楽しみ、桜を見つけた瞬間を喜ぶことこそが、この季語の本意だと考えます。真っ白に咲く桜を探し歩いていると、真っ白に溢れ「轟く滝」が目に入ってくる、その瞬間の感動が「桜狩」という過程の喜びとして、読者の心に飛び込んできます。下五「ところまで」の余韻もまた「桜狩」という季語の醍醐味に呼応します。
   
(鑑賞:夏井いつき)
(出典:ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』2013年4月12日放送分より)