株式会社 夏井&カンパニー

長閑かな赤子の尻の穴眺む  夏井いつき

季語
長閑
季節
三春
分類
時候
鑑賞

 赤ちゃんもだいぶん薄着になった。おむつも「寒いから早くかえてあげるね」なんて事はなくなり,気候も作者の心もゆっくりと焦らずにできるようになった頃である。
 いつものように、おむつを換えていると,ほんのりと色づくものが目の前にあるのである。それは中心がすぼみ,赤ちゃんの呼吸に合わせて,ひだひだの中心がきゅっとすぼんだり弛んだりする。時おり小さい穴が開いたと思ったら,ふすっと音がしたり,ゆるゆるとうんちが出てきたりする。表情もあわせてみると面白い。ずっと見ていていても飽きがこない。
 長閑でなければ,長閑な時だからこそ,ゆっくりじっくり観察できるのである。
   
(鑑賞:豊田すばる)
(出典:句集『皺くちゃ玉』)