裸の句である。隠れる場所もない広大な末黒野で、今や偽ることもできず剥き出しの心で立ち尽くす二人を、太陽が酷薄に照らし出す。晒し者にするとさえ言ってよい。ゆえに、掲句に修辞などない。ありのままに定型を逸脱しながら、座四は日輪でもお日様でもなく、「太陽」である。 野は焼かれたのだ。二人は再び手を取り合うことはないが、同じ太陽を見ており、決して忘れることはないだろう。それぞれに、新たな命の予感に戸惑いながら。 (鑑賞:彼方ひらく) (出典:句集『伊月集 梟』)