株式会社 夏井&カンパニー

どうかしてゐる歌留多にひらがなは群れて  Y音絵

季語
歌留多
季節
新年
分類
人事
鑑賞

 いきなり畳みかけられる「どうかしてゐる」という呟きに惹きつけられます。困惑か、憤りか。「歌留多」の一語で、おやおや理不尽に負けましたかと一句の展開を見抜いた気になった瞬間、目に飛び込んでくる「ひらがなは群れて」の措辞に、心がハッと動きます。
 「どうかしてゐる」は、目の前にある百人一首の取り札に向けられた呟き。長方形の札いっぱいに「ひらがな」ばかりが「群れ」ていることへの美しい困惑。
 初めて百人一首の取り札を見たときに、確かに私自身も感じそのまま忘れ去っていた違和感が、上五の独白によってありありと蘇ってきたことに驚きました。改めて取り札の一枚一枚を眺めながら、この句の詩語の鮮度に感じ入りました。
   
(鑑賞:夏井いつき)
(出典:松山市公式サイト『俳句ポスト365』2016年1月8日掲載分)