株式会社 夏井&カンパニー

夜寒なりじきにこの子は雪も知る  茨城翔子 

季語
夜寒
季節
晩秋
分類
時候
鑑賞

 例えば「じきにこの子も雪を知る」と比較してみます。これだと他の子と同じに「この子も」「雪」というモノを「知る」の意になり、どの子も「雪を知る」のが当たり前のこととして描かれます。
 対する掲出句「この子は」の「は」は、他と区別する助詞。目の前で眠る「この子」は、と取り立てて指さす表現です。「は」の一語に愛があります。さらに「雪も」の「も」は、他にもあることを示す助詞。「この子」はすぐに「雪」も「知る」よ、沢山のことを体験しながら育っていくに違いないよ、というこれも愛の一語の「も」なのです。やがて「雪も知る」「この子」は今、生まれて初めての「夜寒」の中で、健やかな寝息を立てているのでしょう。

(鑑賞:夏井いつき)
(出典:松山市公式サイト『俳句ポスト365』2014年11月7日掲載分)