株式会社 夏井&カンパニー

鶏頭や十体分の穴である  夏井いつき

季語
鶏頭
季節
三秋
分類
植物
鑑賞

 謎である。問題は「十体分の穴」。穴が何のために、何処に存在しているのか分からない。この難問を解く鍵は「である」だ。「である」は、断定の意。(鶏頭は十体分の穴だ」だがまだ分からない。ここで脳裏に、落語の「あたま山」が浮かんだ。自身の頭にできた穴に水が溜まり、池になってしまった男が、その池へ入水自殺する話。もうここまできたら、想像の上を突き抜けており、もう完敗だ。出来ることといえば、この景を噛み締め、想像し、ニンマリするだけだ。さて問題の句だが、鶏頭=脳みそという類想の沼から抜け出し、作者は変化球、いや魔球を投げてきたのではないだろうか?ならば、読み手は名捕手となり、ニンマリしてやればいいのだ。

(鑑賞:天野姫城)