株式会社 夏井&カンパニー

別れ烏や屈強の山正面に  ターナー島

季語
別れ烏
季節
初秋
分類
動物
鑑賞

 烏という生き物は親子の情愛が深いのだそうです。秋になってやっと親離れ子離れをするというのが、季語「別れ烏」の本意です。
 それにしても「屈強の山」というのは面白い表現です。親の元を離れて、いざ飛び立った子烏の前に立ちはだかっているのが、この「屈強の山」。高く聳えた猛々しい山なのでしょう。「別れ烏や」と7音で季語を詠嘆し、さらに「屈強の山」という7音が中七に聳え立ち、下五「正面に」と5音で納める構造と調べが、一句の内容を際立てます。子烏の心細さを、我が心の不安として生々しく受け止める作者だからこそ、この季語の世界において「屈強の山」という詩語をつかみ取れたのに違い有りません。

(鑑賞:夏井いつき) 
(出典:ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』2014年9月5日放送分)