株式会社 夏井&カンパニー

法師蝉船霊さまへ申し上ぐ  亜桜みかり

季語
法師蝉
季節
初秋
分類
動物
鑑賞

 「船霊」とは船の守護霊です。御神体として女の髪・男女1対の人形・2個のサイコロ・一文銭十二枚・五穀などを、帆柱の根の部分に納めるということを今回初めて知りました。
 「法師蝉」が鳴きはじめると、台風シーズンの到来。「板子一枚下は地獄」と言い習わされる自然の驚異を骨身に知っているのが船乗りたちです。「船霊さまへ申し上ぐ」は、彼らの信心深さを思わせる措辞であり、敬虔に頭を垂れる姿でもあります。
 「法師蝉」のつくつくぼうしつくつくぼうしという鳴き声は、「筑紫恋し」と聞きなされてもいたようです。船乗りたちの陸を恋う思いもまた、つくづく恋しつくづく恋し、なのでありましょう。

(鑑賞:夏井いつき)
(出典:松山市公式サイト『俳句ポスト365』2014年8月15日掲載分)