株式会社 夏井&カンパニー

居留守して風鈴鳴らしたりもして  夏井いつき

季語
風鈴
季節
三夏
分類
人事
鑑賞

 居留守というのは、会いたくないとか都合が悪い時にするものです。たとえば借金をしていて返せない時などにすると思います。
 でも、借金の返済が出来ずにする居留守にしては、切実さがありません。季語の持つ爽やかさからも作者は楽しんでいるようにも思えます。
 居留守だよと伝えたがっているようにも思います。本当はもっと積極的に踏み込んできて欲しいというもどかしさも感じます。
 これは恋ではなかろうかと思うのです。思い切って自分をさらっていってくれないだろうかという情熱をも感じるのです。
 それでいて、悪戯っ子の部分が感じられます。作者の心の奥には、与謝野晶子のような情熱と、幼児のいたずら心が同居しているのかもしれません。
(鑑賞:佐東亜阿介)
(出典:句集『伊月集 梟』)