株式会社 夏井&カンパニー

水神に火の粉浴びせよ川開  中原久遠

季語
川開
季節
晩夏
分類
人事
鑑賞

 「川開」は元々「水難にあった人の鎮魂の行事」「水辺の安全を祈願する行事」でしたが、現在では「花火大会」を意味するようになってきたというなかなか曲者の季語です。
 季語「川開」の現場にあるのは真っ暗な水。そこには人間の傲慢を罰しようとする「水神」もいるに違い有りません。そんな「水神」へむかって浴びせる「火の粉」は贖罪であり、鎮魂であり、祈りであり、また生きてある喜びでもあります。さらに中七「浴びせよ」は、様々な思いを凝縮した一語。暗い水面を迸る「火の粉」の映像だけでなく、季語「川開」の持つ複雑な思いも表現し、「水神」「火の粉」「川開」の三語を繫ぐ働きもしています。
(鑑賞:夏井いつき)
(出典:松山市公式サイト『俳句ポスト365』 2014年7月11日掲載分)