株式会社 夏井&カンパニー

ほとけのざ口伝遠野につまびらか  野風

季語
仏の座
季節
新年
分類
植物
鑑賞

 「口伝」とは、語り伝えること。「遠野」とは、柳田國男著『遠野物語』のもととなった町。「つまびらか」とは、詳しいさま。天狗や河童や座敷童子たちの数々の「口伝」が「つまびらか」に語られる「遠野」という地の「ほとけのざ」がしきりに思われる新年だよ、と意訳を込めて読んでみると、雪の下でやがて来る春を待つ「ほとけのざ」がことさら愛おしく思われます。雪の匂いと土の匂いと草の匂いが、一句からこぼれ落ちてくるかのような感覚を愛します。
 新年の七草を祝うために探す「ほとけのざ」は、妖怪や死者や神が生き生きと存在する「遠野」の地の特別な植物として、集められます。七草を刻むためのこの地独特の唄もあるにちがいありません。
(鑑賞:夏井いつき)
(出典:松山市公式サイト『俳句ポスト365』』2014年1月10日掲載分)