株式会社 夏井&カンパニー

母刀自のいよよ猿めくお元日  夏井いつき

季語
元日
季節
新年
分類
時候
鑑賞

 この句を読むたび亡くなった姑のことを思い出す。姑は常に理想の高い人だった。いつも何か深く考えているような人だった。脳梗塞を患ってからの姑は、後遺症で体が不自由になったが、心持は穏やかになった。表情も動きもあどけなく、私が守ってあげなければならないという気持ちになった。
 この句の「母刀自」という言葉に大いなる愛を感じる。かつて優しく厳しく逞しかった母が、今は猿のように拙い存在になってしまった。その母と無事に新年を迎えることができるめでたさ。嬉しくもあり哀しくもあり。元日の感慨はこんなところにもある。
(鑑賞:都築まとむ)
(出典:『100年俳句計画2013年4月号(No.185)』「放歌高吟」)