株式会社 夏井&カンパニー

枯むぐら我等は笑ひつつ亡ぶ  くろやぎ

季語
枯葎
季節
三冬
分類
植物
鑑賞

 一読後の不穏な心持ちは、「枯むぐら」の蔓に引っかかっている幾万の顔を想像させます。その顔の一つ一つが笑っているとは、なんと怖ろしい光景か……と鳥肌が立ちます。
 子規句の「枯むぐら」に降る「あたゝかな雨」は、次なる再生を促し約束する雨です。「我等は笑ひつつ亡ぶ」を個体の死と読めば、子へと?いでいく命のイメージを掬いとることもできますが、掲出句が想起させるのはもっと暗い未来、つまり「我等」という人類がいつか「笑ひつつ亡ぶ」日が来るかもしれないという啓示とも読めます。「我等は笑ひつつ亡ぶ」という詩語が宣言する真実を、季語「枯むぐら」が優しく怖ろしく突きつけているようでもあります。
(鑑賞:夏井いつき)
(出典:松山市公式サイト『俳句ポスト365』11月22日掲載分)